スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | | CM(-)TB(-) |  TOP△

ボックス・シート

以前、芥川龍之介の「蜜柑」に出て来る横須賀線の客車がロング・シートだったことを書いたことがあるが、これは逆にボックス・シートの事例。
なお、「蜜柑」は横須賀線の二等客車、こちらは東海道線の三等客車である。

志賀直哉の「ある一頁」より。明治44年(1934)に発表された作品。

汽車が新橋を離れると、客車の隅に居た高等学校生徒と、彼と、其他僅の人を除いて大概の客は皆寝支度にかかつた。彼はこれを夜汽車に乗つたと云ふ観念に捕はれてする所作だと解して居た。然し、暫くして、それは新しく乗つて来る客に対する用意であると心づいた。国府津へ来て、起きてゐた彼は果して半席人に譲らねばならなかつた。(新書版『志賀直哉全集/第一巻』P109〜110)


「半席」というだけでも、おおよそ座席の形状は想像できようけれども、この直後の描写から、ただのクロス・シートではなく、ボックス・シートであったことが判る。

車中の人々は段々と眠つて了つた。彼と背中合せにゐた、商用で大阪へ行くと云ふ六十近い油切つた洋服の男と、十四年前に東京へ出て、浅草の常磐の料理人をして居たと云ふ三十四五の男だけが寝ながらカナリ晩くまで大きい声で話して居た。


「背中合せ」になったのは集団離反式のクロス・シートの中央部の座席だった可能性もある、などというのはヘリクツで、常識的に言えばボックス・シートだったと考えるのが妥当だろう。

それにしても、自分の隣に誰かに坐られないために2人掛けの席に横になってしまうのは、現代の感覚ではいかがなものかという気がするけれども、従前にはそれがふつうだったのだろう。「半席」という言い方も、本来は一人で専有すべきもののようなニュアンスがある。
時代によって、物の考え方、感じ方は変わるものである。「蜜柑」の主人公は煙草を吸っているけれども、ロング・シートの客車に灰皿が設置されていたとも思われない。三四郎だって当り前のように窓から弁当の折を投げ捨てているわけだし…。

全席指定じゃなかったんですね。
[ 2015/02/18 02:27 ] [ 編集 ]

Re: 中川@やたナビ さん

座席指定ができたのは戦後のことみたいですよ。
そもそも、一・二等ならそれほど混むこともなかったでしょうし、三等に乗る人は指定料金なんて払いたくないでしょうし。
それに、「蜜柑」のようなロング・シートじゃ、指定のしようもないですしね。
[ 2015/02/18 09:02 ] [ 編集 ]

中国だと、一番安い車両(硬座といいます)でも全席指定なんですよ。
指定といっても、こちらが指定するのではなく、完全に鉄道会社が指定するので、一緒に切符を買ったのに、席が離れているということも珍しくありません。
なので、指定された席に行ってみると、すでに誰かが座っていて、「ここは俺の席だ」と言っても、「あっちがあいているんだから、あっちに座れ」とか言われることもあります。
どうも、乗客数をコントロールするための指定みたいです。
なので、昔の日本の三等車もそんなものかなと思ってました。
[ 2015/02/19 13:09 ] [ 編集 ]

Re: 中川@やたナビ さん

乗車整理券のようなものなんですかね。
ちなみに、京急ウイング号は乗車する列車の指定のみで座席は自由です。…乗ったことないけど。
[ 2015/02/19 14:15 ] [ 編集 ]

コメントの投稿











管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://hoshinahouse.blog101.fc2.com/tb.php/1014-8fe2a09f










上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。