校本『坊っちゃん』(凡例)

[凡例]

近代における小説は、著者が執筆した原作に近似した形態で流布されるのが通常である。
が、こと児童書に関して言えば、著者原作から乖離した本文で刊行されることが、しばしばあるように見受けられる。
児童書としての性質上、読者たる児童の読解を容易ならしむる本文に改変することが、一切許容されないとは言い切れない。けれども、児童書がそういった読者層の制約から自由ではありえないからこそ、その乖離を理解し認識したうえで、どの書籍を児童に与えるかを判断する責務が、大人にはあると思量する。が、現状では、その判断を行なうだけの材料が、提供されているとは看做しがたい。
そこで、児童向けに出版された、夏目漱石の『坊っちゃん』の諸本の異同を比較して、その資料を提供しようとする。
当「校本」は、『漱石全集/第三巻』(岩波書店、昭和三一年)を底本とするけれども、児童向け書籍の本文の対校という目的を鑑みて、表記は新字新かなを採用する。
対校する本文は、底本と表記が一致する場合には「・」を付し、一致しない場合のみ、該当の本文を記載する。該当する本文がない場合には空白とするけれども、大幅な缺文がある場合、[ナシ]と記載することがある。
底本の改行に合せて改行するが、校異の関係で長くなる場合に、途中で底本にない改行を入れる場合がある。
また、長大な加筆が加えられていて行内に記載し切れない場合、※印を付して、行外に記載する場合がある。
なお、本来なら、ルビをも含めて校異の対象とすべきところだが、煩を避けて割愛した。改行や行開けについても、再現するのが困難であり、看過せざるをえなかった。
そのような限定があるとはいえ、教科書にもしばしば採択される作品だから、青少年へ提供する本文のあり方を考えるうえで、裨益するところがないともいえないのではあるまいか。

対校に使用した本文とその略称は、以下の通り。なお、参考までに、書肆の想定する各書の読者の年齢層を併記する。

 岩波少年文庫(岩波書店、平成一四年)…(岩) 中学以上
 偕成社文庫(偕成社、昭和六三年)…(偕) 小学上級から
 講談社青い鳥文庫(福田清人編。講談社、平成一九年)…(講) 小学上級から
 角川つばさ文庫(後路好章編。角川書店、平成二五年)…(角) 小学上級から
 集英社みらい文庫(森川成美構成。集英社、平成二三年)…(集) 小学中級から


能書きを書いたきりになってたが、漸く開始する。とはいえ、この後順調にアップし続けるということは、恐らく、ない。

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