校本『坊っちゃん』(1-2)

凡例

      庭を東へ二十歩に行き尽 すと  、南上がりに         聊  か許 り
(岩)   ・・・・・・・・・・・ ・・  ・・・・・・         いささ・ばか・
(偕)   ・・・・・・・・ゆきつく・・  ・・・・・・         いささ・ばか・
(講)   ・・・・・・・・い・つく・・  ・・あが・・、        いささ・ばか・
(角)うちの・・・・・・・ ・って      ・を見ると、        小さ
(集)うちの・・・・・・・ ・って行き止まり・・を向くと、少し高いところに小さ

   の菜園  があって、真 中 に 栗 の木が一本立って居る。是 
(岩)・・・  ・・・・・・ ・ ・ ・ ・・・・・・・・い・・これ
(偕)・・・  ・・・・・まんなか・ ・ ・・・・・・・・い・・・・
(講)・やさい畑・・・・・まん・ ・、くり・・・・・・・・い・・これ
(角)な・・  ・・・・・まん・ ・ ・ ・・・・・・・・い・・これ
(集)な・・  ・・・・・まんなか・ ・ ・・・・・・・・いた・これ

   は 命より大事 な栗 だ。実の熟  する時分 は  起き抜け  に脊
(岩)・ ・・・・・ ・・ ・・・・・  ・・・・ ・  ・・・・  ・・
(偕)・ ・・・だいじ・・ ・・・・・  ・・・・ ・  ・・ぬ・  ・背
(講)・、・・・だいじ・くり・・・・じゅく・・じぶん・、 ・・ぬ・  ・うら
(角)・ ・・・・・ ・・ ・・・・・  ・・・に ・、朝・・てすぐ ・裏の
(集)・ ・・・だいじ・・ ・・・・・  ・・季節 ・、朝・・たらすぐ・裏の

    戸を出て 落ちた奴 を拾 ってきて、学校で食う。  菜園  の
(岩) ・・・・ ・・・やつ・・ ・・・・・・・・・・・  ・・  ・
(偕) ・・で・ ・・・やつ・・ ・・・・・・・・・・・  ・・  ・
(講) 門・で・、・・・やつ・ひろ・・・・・・・・・・・  やさい畑・
(角) ・・・・ ・・・やつ・・ ・・・・ ・・・・・・  ・・  ・
(集)木・・・・、・・・やつ・ひろ・・・・・・・・・・・この・・  ・

   西側 が  山城屋 と云う質屋の庭続 きで     、此 質屋に 勘太郎
(岩)・・ ・  ・・・ ・い・・・・・・ ・・     ・この・・・ ・・・
(偕)・・ ・  ・・・ ・い・・・・・つづ・・     ・この・・・ ・・・
(講)・がわ・、 ・・・ ・い・・・・・つづ・・     ・この・・・、・・・
(角)・・ ・、「・・・」・い・・・・・つづ・になっていて・この・・・ ・・・
(集)・・ ・、『・・・』・い・・・・・   ・     ・この・・・ ・・・

   という十三 四 の倅  が居た。勘太郎は 無 論 弱 虫 である。
(岩)・・・・・、・ ・・  ・い・・・・・・ む ろん・ ・ ・・・・
(偕)・・・・・、・ ・せがれ・い・・・・・・ む ろん・ ・ ・・・・
(講)・・・・・、・ ・せがれ・い・・・・・・ む ろんよわむし・・・・
(角)・・・・・、・ ・息子 ・い・・・・・・、もちろん・ ・ ・・・・
(集)・・・・・、・歳・息子 ・い・・・・・・、もちろん・ ・ ・・・・

   弱 虫 の癖 に 四つ目垣 を乗りこえて、栗 を盗 みにくる。
(岩)・ ・ ・くせ・ ・・・・ ・・・・・・・・ ・・ ・・・・・
(偕)・ ・ ・くせ・ ・・・・ ・・・・・・・・ ・・ ・・・・・
(講)よわむし・くせ・、・・・がき・の・・・・・くり・ぬす・・・・・
(角)・ ・ ・くせ・ 竹  ・ ・・・・・・・・ ・・ ・・・・・
(集)・ ・ ・くせ・、竹の ・根を・・・・・、・ ・・ ・・・・・

   ある日の夕方     折 戸の蔭 に隠 れて、とうとう勘太郎を捕
(岩)・・・・・・     ・ ・・かげ・・ ・・・・・・・・・・・・
(偕)・・・・・・、    ・り・・かげ・かく・・・・・・・・・・・つら
(講)・・・・・がた、   ・り・・かげ・かく・・・・・・・・・・・つか
(角)・・・・・・ 、     ・・陰 ・・ ・・・・・・・・・・・つか
(集)・・・・・・ 、おれは  ・・かげ・かく・・・・・・・・・・・つか

   まえてやった。其 時  勘太郎は逃げ路 を失  って、一 生  懸
(岩)・・・・・・・その・  ・・・・・・・ ・・  ・・・・ ・  ・
(偕)・・・・・・・そのとき ・・・・・・みち・うしな・・・・ ・  ・
(講)・・・・・・・そのとき、・・・・に・道 ・うしな・・・いっしょうけん
(角)・・・・・・・その・  ・・・・・・道 ・・  ・・・・ ・  ・
(集)・・・・・・・     ・・・・・・みち・・  ・・・いっしょうけん

   命 に飛びかかって来た。向 うは 二つ許 り年上である。
(岩)・ ・・・・・・・・・・・ ・・ ・・ばか・・・・・・・
(偕)・ ・と・・・・・き・・・こ・・ ・・ばか・・・・・・・
(講)めい・と・・・・・き・・むこ・・、・・ばか・・・・・・・
(角)・ ・・・・・・・き・・・こ・・ ・・ばか・・・・・・・
(集)めい・・・・・・・き・・・ ・・ ・・ばか・・・・・・・

   弱 虫 だが 力は強い。鉢 の開 いた頭を、こっちの胸 へ宛
(岩)・ ・ ・・ ・・・・・・ ・・ ・・・・・・・・・・ ・あ
(偕)・ ・ ・・ ・・・・・・ ・ひら・・・・・・・・・・ ・あ
(講)よわむし・・、・・・・・はち・ひら・・・・・・・・・むね・あ
(角)・ ・ ・・ ・・・・・大きな    ・・・・・・・・ ・あ
(集)・ ・ ・・ ・・・・・でかい    ・・・・・・・・ ・あ

   てて ぐいぐい押し  た拍  子に、勘太郎の頭がすべって、
(岩)・・ ・・・・・・  ・・  ・・・・・・・・・・・・・・
(偕)・・ ・・・・・・  ・ひょうし・・・・・・・・・・・・・
(講)・・、・・・・お・  ・ひょうし・・・・・・・・・・・・・
(角)・・・・・・・・・  ・・  ・・・・・・・・・・・・・・
(集)・・ ・・・・・・てき・ひょうし・・・・・・・・・・・・・

   おれの袷  の袖 の中に這入った。邪 魔になって 手が使え
(岩)・・・・  ・・ ・・・はい・・・・ ・・・・・ ・・・・
(偕)・・・・  ・そで・・・はい・・・じゃま・・・・ ・・・・
(講)・・・あわせ・そで・・・はい・・・じゃま・・・・、・・・・
(角)・・・着物 ・・ ・・・ ・・・・じゃま・・・・ ・・・・
(集)・・・着物 ・・ ・・・はい・・・じゃま・・・・ ・・・・

   ぬ から、無暗    に手を振ったら、袖 の中にある勘太郎の
(岩)・ ・・ むやみ   ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・
(偕)・ ・・・むやみ   ・・・ふ・・・・そで・・・・・・・・・
(講)・ ・・・むやみ   ・・・ふ・・・・そで・・・・・・・・・
(角)ない・・・めちゃくちゃ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・
(集)ない・・・やたら   と・・・・・・・       ・・・・

   頭が、右左へぐらぐら靡 いた。    仕舞 に 苦しがって 袖 の
(岩)・・・・・・・・・・なび・・・    しまい・ ・・・・・ ・ ・
(偕)・・・・・・・・・・なび・・・    しまい・ ・・・・・、そで・
(講)・・・左右・・・・・なび・・・    しまい・ ・・・・・、そで・
(角)・・・左右・・・・・なび・・・    最後 ・は・・・・・・・ ・
(集)・・・・・・・・・・動 ・・・勘太郎はしまい・ ・・・・・・・ ・

   中から、おれの二の腕 へ食い付いた。痛 かったから    勘
(岩)・・・・・・・・・・ ・・・つ・・・・ ・・・・・    ・
(偕)・・・・・・・・・・ ・・・つ・・・・ ・・・・・    ・
(講)・・・・・・・・・うで・・・つ・・・いた・・・・・、   ・
(角)・・・ ・・・・・・ ・・・つ・・・・ ・・・・・    ・
(集)・・・・・・・  ・ ・・・・・・・・・・・・・・、おれは・

   太郎を垣 根へ押しつけて置いて、足搦を  かけて向 うへ倒 
(岩)・・・・ ・・・・・・・お・・・・・・  ・・・・ ・・たお
(偕)・・・・ ・・・・・・・お・・・・・・  ・・・・こ・・たお
(講)・・・かきね・お・・・・お・・・・ ・  ・・・むこ・へたお
(角)・・・・ ・・・・・・・お・・・・ ・引っ・・・・こ・・・
(集)・・・・ ・・・・・・・    ・ ・  ・・・むこ・・・

   してやった。 山城屋 の地面は    菜園  より六尺がた   低い。
(岩)・・・・・・ ・・・ ・・・・    ・・  ・・・・・・   ・・・
(偕)・・・・・・ ・・・ ・・・・    ・・  ・・・・・・   ・・・
(講)・・・・・・ ・・・ ・・・・、   やさい畑・・・・・・   ・・・
(角)・・・・・・ ・・・ ・・・・、   ・・  ・・・・くらい  ・・・
(集)・・・・・・『・・・』・土地・、うちの・・  ・・二メートルほど・・・

   勘太郎は 四つ目垣 を半分崩 して、  自分 の領分 へ真 逆 様
(岩)・・・・ ・・・・ ・・・くず・・・  ・・ ・・・ ・・ ・ ・
(偕)・・・・ ・・・・ ・・・くず・・・  ・・ ・・・ ・まっさかさま
(講)・・・・、・・・がき・・・くず・・・  じぶん・・・ ・まっさかさま
(角)・・・・ 竹  ・ ・・・くず・・・  ・・ ・家の庭・まっさかさま
(集)・・・・    ・根の・・といっしょに、じぶん・家の方・まっさかさま

   に落ちて、 ぐう  と云った。勘太郎が落ちるときに、お
(岩)・・・・・ ・・  ・い・・・・・・・・・・・・・・・
(偕)・・・・・ ・・  ・い・・・・・・・・・・・・・・・
(講)・・・・・「・・。」・い・・・・・・・・・・・・・・・
(角)・・・・  ・・  ・言・・・・・・・・・・時 ・・・
(集)・・・・、「・・」 ・い・・・           お

   れの袷  の片袖 がもげて、急  に手が自由になった。其 晩
(岩)・・・  ・・・ ・・・・・・  ・・・・・・・・・・その・
(偕)・・・  ・・そで・・・・・・  ・・・・・・・・・・その・
(講)・・あわせ・・そで・・・・・きゅう・・・・・・・・・・その・、
(角)・・着物 ・・・ ・・・・ ・  ・・・・・・・・・・その・、
(集)・・着物 ・・・ ・・・・・・  ・・・・・・・・・・その・、

   母が 山城屋 に詫び  に行った序 でに 袷  の片袖 も取り返 し
(岩)・・ ・・・ ・・・  ・・・・つい・・ ・  ・・・ ・・・・ ・
(偕)・・ ・・・ ・わ・  ・い・・つい・・、・  ・・そで・と・かえ・
(講)・・ ・・・ ・わ・  ・い・・つい・・、あわせ・・そで・と・かえ・
(角)・・ ・・・ ・あやまり・・・・つい・・、着物 ・・・ ・・・かえ・
(集)・・『・・・』・あやまり・い・・つい・・、    ・・ ・・・かえ・

   て来た。
(岩)・・・・
(偕)・き・・
(講)・き・・
(角)・き・・
(集)・き・・

   此  外   いたずらは大分  やった。大工の兼公と肴  屋の角
(岩)この ほか  ・・・・・だいぶ ・・・・・・・・・・・  ・・・
(偕)この ほか  ・・・・・だいぶ ・・・・・・・・・・・  ・・・
(講)この ほか、 ・・・・・だいぶ ・・・・・・・・・・さかな・・・
(角)これ以・にも、・・・・・だいぶ ・・・・・・・・・・魚  ・・・
(集)この ほか、 ・・・・・ずいぶん・・・・・・・・・・魚  ・・・

   をつれて、茂作の人 参 畠  をあらした事 がある。人 参 の
(岩)・・・・・・・・・ ・ ・  ・・・・・こと・・・・・ ・ ・
(偕)・・・・・・・・にんじん畑  ・・・・・こと・・・・にんじん・
(講)・・・・・・・・にんじん畑  ・・・・・こと・・・・にんじん・
(角)・連・・・・・・にんじんばたけ・・・・・こと・・・・にんじん・
(集)・・・・・・・・にんじん畑  ・・・・・こと・・・・にんじん・

   芽が  出揃 わぬ   処  へ 藁 が一 面 に敷いてあったから、其 上
(岩)・・  ・・ ・・   ところ・ ・ ・・ ・ ・・・・・・・・・・その・
(偕)・・  ・そろ・・   ところ・ ・ ・いちめん・・・・・・・・・・その・
(講)・・  でそろ・・   ところ・、わら・いちめん・し・・・・・・・、そのうえ
(角)・・  ・そろっていないところに、わら・いちめん・し・・・・・・・・その・
(集)・・まだ・そろっていないところに、わら・・ ・ ・・・・・・・・・・その・

   で 三人が半日    相撲 をとりつづけに取ったら、人 参 がみ
(岩)・ ・・・・・    ・・ ・・・・・・・・・・・・・ ・ ・・
(偕)・ ・・・・・    ・・ ・・・・・・・と・・・・にんじん・・
(講)・、   ・・、三人ですもう・・・・・・・と・・・・にんじん・・
(角)・ ・・・・・、   ・・ ・・・・・・・と・・・・にんじん・・
(集)・ ・・・・・、   すもう・・・・・・・・・・・・にんじん・・

   んな踏みつぶされて仕舞った。古川の持って居る田 圃
(岩)・・・・・・・・・しま・・・・・・・・・い・・ ・
(偕)・・・・・・・・・しま・・・・・・も・・い・・んぼ
(講)・・ふ・・・・・・しま・・・・・・も・・い・たんぼ
(角)・・・・・・・・・しま・・・・・・・・・い・・んぼ
(集)・・・・・・・・・しま・・・・・・・・・い・たんぼ

   の井戸を埋めて 尻 を持ち込ま れた事 もある。      太い孟宗
(岩)・・・・・・・ ・ ・・・・・ ・・こと・・・・      ・・・・
(偕)・・・・・・・ ・ ・も・こ・ ・・こと・・・・      ・・・・
(講)・・・・う・・、しり・も・こ・ ・・こと・・・・      ・・もうそうだけ
(角)・・・・・・・、文句・つけら  ・・こと・・・・      ・・竹
(集)・・・・・・・、文句・いいに来ら・・こと・・・・その井戸は、・・竹

   の節 を抜いて、深く埋めた中から 水が湧き出て、そこ
(岩)・・ ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・
(偕)・・ ・ぬ・・・・・・・・・・・ ・・わ・で・・・・
(講)・ふし・ぬ・・・・・う・・・・・ ・・わ・で・・・・
(角)・・ ・ぬ・・・・・・・・・・・ ・・わ・・・・まわ
(集)・・ ・ぬ・・ ・・・・・・・・、・・わ・・・・・の

   いら の稲 に水がかかる仕掛 であった。其 時分 は    どんな
(岩)・・ ・・ ・・・・・・・・ ・・・・・その・・ ・    ・・・
(偕)・・ ・・ ・・・・・・・・け・・・・・その・・ ・    ・・・
(講)・・ ・いね・・・・・・しかけ・・・・・そのじぶん・、   ・・・
(角)り  ・・ ・・・・・・しかけ・・・・・その・  ・、   ・・・  
(集)あたり・・ ・・・・・・しかけ・・・・・そのころ ・、おれは・・・

   仕掛 か知らぬ から、石や棒ちぎれをぎゅうぎゅう井戸の中
(岩)・・ ・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(偕)・・け・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(講)しかけ・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(角)しかけ・・・ない・・・・・・   ・・・・・・・・・・・
(集)しかけ・・・ない・・・・・・ き・・・・・・・・・・・・

   へ挿し込んで、水が出なくなったのを見届 けて、うち
(岩)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・
(偕)・さ・こ・・・・・で・・・・・・・・とど・・・・・
(講)・さ・こ・・・・・で・・・・・・・・とど・・・・・
(角)・さ・こ・・・・・・・・・・・・・・とど・・・・・
(集)・さ・こ・・・・・・・・・・・・・・とど・・・・・

   へ帰って飯 を食って居たら、古川が真赤 になって怒鳴
(岩)・・・・・ ・・・・い・・・・・・・・ ・・・・・・
(偕)・・・・・ ・・・・い・・・・・・まっか・・・・どな
(講)・・・・めし・・・・い・・・・・・まっか・・・・どな
(角)・・・・・ ・・・・い・・・・・・まっか・・・・どな
(集)・・・・・ ・・・・い・・・・・・まっか・・・・どな

   り込んで来た。       慥 か 罰金を出して 済んだ様 である。
(岩)・・・・・・・       たし・ ・・・・・・ ・・・よう・・・・
(偕)・こ・・き・・       たし・ ・・・だ・・、す・・よう・・・・
(講)・こ・・き・・       たし・、・・・だ・・ す・・よう・・・・
(角)・こ・・き・・       たし・、 ・・払っ・ す・・よう・・・・
(集)・こんできた。※そのときは、たし・  ・・払っ・ す・・よう・・・・
   ※それはそうだろう、水がなければ稲が枯れてしまう。

コメントの投稿











管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://hoshinahouse.blog101.fc2.com/tb.php/1044-38b5a027