校本『坊っちゃん』(1-5)

凡例

以下、(講)は「下女の清」と章立てする。


   其 時 はもう仕方 がないと観念し て 先方 の云う通 り 勘
(岩)その・ ・・・・・ ・・・・・・・ ・ ・・ ・い・・ ・ ・
(偕)・・とき・・・しかた・・・・・・・ ・ ・・ ・い・とお・ ・
(講)そのとき・・・しかた・・・・あきらめ・ ・・ ・い・とお・、・
(角)その・ ・・・しかた・・・・・・・ ・、二人 ・い・とお・ ・
(集)そのとき・・・しかた・・・・あきらめ・、おやじ・い・とお・、縁を

   当される積 りでいたら、十年来召し使 って         いる 清と云
(岩)・・・・つも・・・・・・・・・・・・ ・・         ・・ ・・い
(偕)・・・・つも・・・・・・・・・・・・ ・・         ・・ ・・い
(講)・・・・つも・・・・・・・・・め・つか・・         ・・ ・・い
(角)・・・・つも・・・・・・・・以上うちで働いて        ・・、・・い
(集)切ら・・つも・・・・・・・・以上うちに住みこみではたらいて・・・ ・・い

   う下女 が、泣きながらおやじに詫 まって、漸  くおやじ
(岩)・・・ ・・・・・・・・・・・あや・・・・ようや・・・・
(偕)・・・ ・・・・・・・・・・・あや・・・・ようや・・・・
(講)・・・ ・・な・・・・・・・・あや・・・・ようや・・・・
(角)・家政婦・・・・・・・・・・・あや・・・・ようや・・・・
(集)・家政婦・・・・・・・・・・・あや・・・・ようや・・・・

   の怒 りが解けた。それにも関  らず    あまりおやじを怖 い
(岩)・・ ・・・・・・・・・・かかわ・・    ・・・・・・・・ ・
(偕)・・ ・・と・・・・・・・かかわ・・    ・・・・・・・こわ・
(講)・いか・・と・・・・・・・かかわ・・、   ・・・・・・・こわ・
(角)・・ ・・・・・・・・・・かかわ・・、   ・・・・・・・こわ・
(集)・・ ・・と・・・・・・・かかわ・・、おれは・・・・・・・こわ・

   とは思わなかった。却 って此 清と云う下女 に気の毒 で
(岩)・・・・・・・・・かえ・・この・・い・・・ ・・・・ ・
(偕)・・・・・・・・・かえ・・この・・い・・・ ・・・・ ・
(講)・・・・・・・・・かえ・・この・・い・・・ ・き・どく・
(角)・・・・・・・・・かえ・・この・・い・家政婦・き・どく・
(集)・・・・・・・・・かえ・・この・・い・家政婦・き・どく・

   あった。此 下女 は もと  由緒のある ものだったそうだ
(岩)・・・・この・・ ・ ・・  ・・・・・ ・・・・・・・・
(偕)・・・・この・・ ・ ・・  ・・・・・ ・・・・・・・・
(講)・・・・この・・ ・、・・  よい家がらの・・・・・・・・
(角)・・・・この家政婦・、・・もと・・・・・家に生まれ・・・・
(集)・・・・この ・ ・、・・は 相当・家柄   ・・・・・・

   が、     瓦解の      ときに零落し  て、
(岩)・・     ・・・      ・・・・・・  ・・
(偕)・・     ・・・      ・・・・・・  ・・
(講)・・徳川幕府が・・した     ・・・おちぶれ ・・
(角)・・明治になってから          ・ちぶれ・・
(集)・・明治になって幕府がなくなった時 ・ ・ちぶれ・・

   つい 奉公    迄 する様 になっ
(岩)・・ ・・    まで・・よう・・・
(偕)・・ ・・    まで・・よう・・・
(講)・・に・・    まで・・よう・・・
(角)・・に住みこみ働きまで・・よう・・・
(集)・・に住みこみではたらく よう・・・

   たのだと聞いて居る。だから婆 さんである。此 婆 さん
(岩)・・・・・・・い・・・・・・ ・・・・・・この・ ・・
(偕)・・・・・・・い・・・・・ばあ・・・・・・このばあ・・
(講)・・・・・・・い・・・・・ばあ・・・・・・このばあ・・
(角)・・・・・・・い・・・・・ばあ・・・・・・このばあ・・
(集)・・・・・・・い・・・・・ばあ・・・・・・このばあ・・

   がどういう因 縁 か、おれを非常  に可愛 がって呉れた。
(岩)・・・・・・ ・ ・・・・・・・  ・・・ ・・・く・・・
(偕)・・・・・・ ・ ・・・・・・・  ・かあい・・・く・・・
(講)・・・・・いんねん・・・・・ひじょう・かわい・・・く・・・
(角)・・・・・わけ  ・・・・・・・  ・かわい・・・く・・・
(集)・・・・・わけ  ・・・・・ひじょう・かわい・・・く・・・

   不思議なものである。母も死ぬ三日前に 愛想 をつかし
(岩)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ ・・・・
(偕)ふしぎ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ ・・・・
(講)ふしぎ・・・・・・・[ナシ]
(角)・・・・・・・・・・・・・・・・・・、・・ ・・・・
(集)ふしぎ・・・・・・・・・・・・・・・ あいそ・・・・

   た ――おやじも年中  持て余 している ――町内では  乱 暴
(岩)・ ・・・・・・・・  ・・・ ・・・・ ・・・・・・  ・ ・
(偕)・ ・・・・・・・・  も・あま・・・・ ・・・・・・  ・ ・
(講)[ナシ]
(角)・ ・・・・・・・じゅうも・あま・・・・ ・・・・・・、 らんぼう
(集)・。  ・・・・・・  も・あま・・・・。  ・・・・、『・ ・

   者の悪太郎と爪 弾 きをす   る ――此  おれを   無暗 に珍重  し
(岩)・・・・・・・ ・ ・・・   ・ ・・この ・・・   むやみ・・・  ・
(偕)・・・・・・・ はじ・・・   ・ ・・この ・・・   むやみ・・・  ・
(講)[ナシ]
(角)・・・・・・・ ・ ・・・   ・ ・・この ・・・   ・性 ・大切に ・
(集)・・ワル』・つまはじ・にされてい・。  そんな・・・、清はむやみ・だいじに・

   てくれた。おれは 到 底 人に好かれる性 でない とあき
(岩)・・・・・・・・ とうてい・・・・・・・ ・・・ ・・・
(偕)・・・・・・・・ とうてい・・・・・・たち・・・ ・・・
(講)[ナシ]
(角)・・・・・・・・、とうてい・・・・・・たち・・・、・・・
(集)・・・・・・・・ とうてい・・す・・・・格・・・ ・・・

   らめて居たから、他人から木の  端 の様 に取り扱  われるの
(岩)・・・い・・・・・・・・・・  ・ ・よう・・・・  ・・・・
(偕)・・・い・・・・・・・・・・  ・ ・よう・と・あつか・・・・
(講)[ナシ]
(角)・・・い・・・・・・・・・・  ・ ・よう・  あつか・・・・
(集)・・・い・・・・・・・・・・切れはし・よう・  あつか・・・・

   は何 とも思わない、却 って此 清の様 に ちやほやしてく
(岩)・・ ・・・・・・・かえ・・この・・よう・ ・・・・・・・
(偕)・なん・・・・・・・かえ・・この・・よう・ ・・・・・・・
(講)[ナシ]       
(角)・なん・・・・・・。かえ・・この・・よう・、・・・・・・・
(集)・なん・・・・・・・かえ・・この・・・・・ ・・・・・・・

   れるのを不審 に考えた。清は 時 々  台所で 人の居ない時
(岩)・・・・・・ ・・・・・・・ ・ ・  ・・・ ・・い・・・
(偕)・・・・・・ ・・・・・・・ ときどき ・・・ ・・い・・とき
(講)[ナシ]        ・・ ときに  ・・・、・・い・・とき
(角)・・・・・思議・思っ・・・・、ときどき ・・・ ・・い・・・
(集)・・・がふしぎ・思・・・・・ ときどき、・・・ ・・い・・とき

   に 「あなたは 真っ直 で よい御気性だ」と 賞める事 が 時
(岩)・ ・・・・・ ・・・ ・ ・・・・・・・・ ・・・こと・ ・
(偕)・ ・・・・・ ま・すぐ・ ・・・・・・・・ ほ・・こと・ とき
(講)・、・・・・・ ま・すぐ・、・・ご・・・・・ ほ・・こと・、とき
(角)・、・・・・・、ま・すぐ・ ・・ご・・・・・、ほ・・こと・
(集)・、・・・・・、ま・すぐ・ ・・ご性格・・・ ほ・・こと・

   々 あった。然 し おれには 清の云う   意味が分からなかっ
(岩)・ ・・・・しか・ ・・・・ ・・い・   ・・・・・・・・・
(偕)どき・・・・しか・ ・・・・ ・・い・   ・・・わ・・・・・
(講)どき・・・・しか・、・・・・、・・い・   ・・・わ・・・・・
(角)  ・・・・しか・ ・・・・ ・・い・   ・・・わ・・・・・
(集)  ・・・・しか・ ・・・・ ・・い・ことの・・・わ・・・・・

   た。 好い気性なら 清以外 のものも、もう少 し善くして
(岩)・・ ・・・・・・ ・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・
(偕)・・ い・・・・・ ・・・ ・・・・・・・すこ・よ・・・
(講)・・(よ・・・・・、・いがい・・・・・・・すこ・よ・・・
(角)・・ い・・・・・ ・・・ ・人 ・・・・・ ・よ・・・
(集)・・ よ・性格・・、・・・ ・・・・・・・すこ・よ・・・

   くれるだろう  と思った。清がこんな事 を云う度 に  おれ
(岩)・・・・・・  ・・・・・・・・・・こと・い・・ ・  ・・
(偕)・・・・・・  ・・・・・・・・・・こと・い・たび・  ・・
(講)・・・・・・。)・・・・・・・・・・こと・い・たび・、「・・
(角)・・・・・・  ・・・・・・・・・・こと・い・たび・  ・・
(集)・・・・・・に ・・・・・・・・・・こと・い・たび・、 ・・

   は  御世辞は嫌  だ  と   答えるのが常 であった。すると 婆 さ
(岩)・  ・・・・・い ・  ・   ・・・・・・ ・・・・・・・・ ・ ・
(偕)・  お・・・きらい・  ・   ・・・・・・ ・・・・・・・・ ばあ・
(講)・、 おせじ・きらい・。」・   ・・・・・つね・・・・・・・・、ばあ・
(角)・、 お・・・きらい・  ・いつも・・        ・・・・・ 清
(集)・、「おせじ・きらい・」 ・いつも・・・・   ・・・・・・・・ ばあ・

   んは  夫 だから 好い御気性です  と云っては、嬉 しそうに
(岩)・・  それ・・・ ・・・・・・・  ・い・・・・・ ・・・・
(偕)・・  それ・・・ い・・・・・・  ・い・・・・うれ・・・・
(講)・・、「それ・・・、よ・ご・・・・。」・い・・・・うれ・・・・
(角) ・、「それ・・・ い・・・・・・」 ・い・・・・うれ・・・・
(集)・・ 「それ・・・、よ・ご性格・・」 ・い・・・・うれ・・・・

   おれの顔を眺 めて居る。自分 の力でおれを製造して誇
(岩)・・・・・・ ・・い・・・・ ・・・・・・・・・・・
(偕)・・・・・なが・・い・・・・ ・・・・・・・・・・・
(講)・・・・・なが・・い・・[ナシ]
(角)・・・・・なが・・い・・・・ ・・・・・・・・・・・
(集)・・・・・なが・・い・・じぶん・・・・・・・・・・・

   ってる様 に見える。少々気味がわるかった。
(岩)・・・よう・・・・・・・・・・・・・・・・
(偕)・・・よう・み・・・・・・・・・・・・・・
(講)[ナシ]
(角)・・・よう・・・・・・・・・・・・・・・・
(集)・・・よう・・・・・・しきみ・悪 ・・・・

コメントの投稿











管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://hoshinahouse.blog101.fc2.com/tb.php/1048-b96df20d