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「真昼時」?

厳密には……」の続き。

前回、月を見たのが「真昼時」だということに付き合って書いて来たけれども、そもそもこれが疑わしい。

英子が別れた夫の秀一と一緒に昼の月を見たのは、結婚指輪を誂えに出掛けた帰りである。


小説の本文には上記の通り確かに「昼の月」と書いてあり、この後にも「秀一」が「昼間も月が出るんだなあ」と言っている。
けれども、それと「真昼時」とは違うだろうと思う。「真昼時」という言葉には、正午前後の印象がある。
二人は「数寄屋橋のそばにあるデパート」を出たところで「昼の月」を見ている。
デパートの開店と同時に入ったのなら、出て来るのは「真昼時」かもしれないけれども、二人はこの後「有楽町の喫茶店」に入り、その後、姑と「指環を誂えたことを報告かたがた夕食を一緒にした」のだから、そんなに早い時間帯だとは思われない。

そもそも、「昼の月」の描写は、次のようである。

ビルの上にうす青い空があり、白い透き通った半月形の月が浮かんでいた。


半月だと明記されているのだから、月齢7日前後の頃だとしか考えられない。22日頃の月も半月だけれども、その月齢なら、月は昼前には沈んでしまう。
月齢7日なら月の出は11時30分過ぎ頃、正午には、まだ地平線からほど遠からぬ位置にある。1時間に15度ほどずつ昇る見当だから、「ビルの上」に月が見えるのは、早くて午後2時、恐らく3時頃までの時刻で、デパートでの買い物帰りに近くの喫茶店でひと息、というのに丁度良い時間帯だろう。そしてその後、姑の家に行って夕食を食べる……作者は、周到に時間を計って書いているのである。「昼の月」を「真昼時」だと思い込んで読んでいたら、こういうところが見えて来ない。

小説などの文学作品は、書かれていない(ように見えて、実は書かれている)ことまで読むと、よりおもしろくなるものである。表面的に書かれていることだけを読んでいてもそれなりにおもしろいだろうけれども、それでは少々、もったいない。

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