「おけ」

僕はテレビを見ていてその場で何かコメントするようなことは滅多にしないのだけれどもこれはつい反応してしまった。

「OK」を「おけ」 10代の半数が表現

メールやSNSなどで「OK」という単語をひらがなで「おけ」などと表現することがある10代の若者が半数に上ることが文化庁の調査で分かりました。こうした表現は、いずれも入力ミスがきっかけで使われるようになったとみられ、専門家は「若者の間で入力ミスであろうと、とにかく早く返信したほうが仲間に信頼されるといった思いが強い。若者が常にせかされた社会で生きていることの表れだ」と分析しています。(NHK NEWS WEB)


いや、それは違うだろうと思う。

まずは揚げ足取りで言うと、「up」を「うp」とするようなのは変換ミス由来だろうけれども、「ok」を変換ミスしたら「おk」にはなっても「おけ」にはならない。
それはそれとして、速く打つために「ok」ではなく「おけ」を選択している、それは現代の若者が常に社会から急かされているからだ、という、何でも現代社会の所為にするステレオチイプな論調には、違和感を覚える。

少なくとも十数年前には、ごく一部でしかなかったかもしれないけれども、承知を意味する「おけおけ」ということばが、口頭語として既に使われていた。
ただし、それが書記言語に取り入れられるには至っていなかった。当時の書記言語の主流は書簡であり、過度な口頭語の流入は、忌避されていたからである。
現代の書記言語は、メール然りライン然りtwitter然りSNS然り、口頭語との垣根は限りなく低くなっている。それで、口頭語「おけ」とか「おけおけ」が、書記言語に流入したに過ぎないように見える。

落語「大工調べ」の中で、与太郎から「あたぼう」とは何かと聞かれた棟梁が、「当たり前だ篦棒めを詰めたんだ、そんな長いことばを全部言ってたら温気(うんき)の時分には腐っちまう、日の短い時分には日が暮れちまう」と言う場面がある。
これを聞いて、「江戸っ子は社会から急かされていたのだ」などと言っても誰からも相手にされないだろうけれども、「現代の若者は…」と言われると、ついそうなのかと思ってしまう。

「ok」を「おけ」と表記する、「up」を「うp」と表記する現象の理由はいくつも考えられるはずなのに、まず何となくそんな気になりやすい現代社会の病理に短絡して決着しようとするのは、安直に思える。

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