神保町ブックフェスティバル

例年、神田古本まつりの一環で、神保町ブックフェスティバルが開催される。
目玉はいろいろあるのだろうけれども、神保町の古書店街に比較的容易に行かれる者にとっては、古本よりむしろ、各出版社が出店して新刊書籍を販売する企画に食指が動く。
定価販売が原則の書籍だけれども、「ちょっと汚れておりますので」という名目で、実際にはさして汚れていないものが格安で入手できる。近年では、ふつうの書店でも自由価格本が扱われるようになっているとはいえ、その比ではない安さのものが、少なからずある。
そもそも書籍なんて、新刊として書店に並んでいるものだって、多少なりとも汚れていることがあって、本当に汚れていたところで、決定的な瑕疵になるものではない。
そして、神保町界隈に社屋を構える専門性の高い小さな出版社が多い分、魅力的なものが見つかることもある。
今回、10分くらいしか時間がなかったのでざっと見回しただけだったのだけれども、目に付いた本が1冊あったので購入した。

その本…が何かは書かずにおくけれども…が出版されて間もない頃だったと思うのだが、著者と思いがけない場所でお目に掛かったことがある。
それ以前にも小さな学会で一度会ったことがあったので、こちらから声を掛けた。先方は僕の顔までは覚えておらず、名乗るまで気づいていなかったのだが、そうと判ると急に慌て出して、「著書では酷いことを書いてしまって…(もごもご)」。その場はそのまま別れたのだが、何だ、酷いことを書かれているのか、と思ったまま、その本も読まずにいた。それが、特価で出ていたので購入したのである。
で、読んでみたら、ちっとも酷いことなんか書いていない。むろん反論したいところもないわけではないけれども、それはお互い様、真っ当な批判である。
何せ、根拠も明示せずに「理解できない」なんていうことを平気で書く人がいるような世界である。こんな批判なら、望むところである。
本来なら、きちんと学問的な場で批判を展開すべきなのだろうけれども、学説の相違はあるにしても、大筋の立場には異論がないので、改めて何かを書く気力が沸かない。それで、こんなところでお茶を濁しているわけである。

とまれ、それほど気にしていたわけではないのだけれども、ほんの僅か何となくもやっとした気分がないでもなかったのが、きれいさっぱり晴れたのは、神保町ブックフェスティバルのお陰である。
こちらこそ、労作をワンコインで手に入れてしまって申し訳ない。

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