『あまんきみこ童話集』

あまんきみこ『あまんきみこ童話集』
あまんきみこ童話集 (ハルキ文庫)

上質な児童文学は、大人が読んでも面白い。
あまんきみこといえば、松井さんのタクシーでおなじみ、「車のいろは空のいろ」のシリーズが名高いが、それ以外にも、幻想的な童話を数多く書いている。

解説でも絶賛されているが、「さよならのうた」は、この作品集中でも傑出していると思う。
大人向けの話としての「欠点」をあげつらって、あくまでも子供向けだと言おうとすれば、言えないことはないだろう。
たとえば、よもぎ野原で「ぼく」が出会って竹とんぼで遊んだ男の子が誰なのか、あまんの作品を多少なりとも読みつけている人であれば、容易に想像が付くはずである。意外な展開ではけっしてない。
にもかかわらず、作品の末尾でそれが明かされた時、改めて涙せずにはいられない。むしろ、大人の方が、自分の経験に照らして、より深く思いを致すことになるのではないだろうか。

少し話は逸れるが、推理小説の結末をしゃべらない、というのがマナー、というより厳格なルールになっているが、僕はくだらないことだと思っている。結末が判ってしまったら面白くないというのは、小説として面白くないからである。シャーロック・ホームズの結末なんて、みんな知っているが、それでも繰り返し読まれているわけである。だから、ストーリーの展開の想像が付く、ということは、小説としての欠点ではありえない。
むろん、推理だけで成り立っているような二流の推理小説の結末は、話してはいけない。それは、確かにマナーである。

「ひゃっぴきめ」「カーテン売りがやってきた」は、ちょっと怖い。怖がりな子に寝る前に読んで聞かせたら寝られなくなってしまうかもしれない。だから、子供に読み聞かせるなら、親がまず一読して作品を選んでからにすることをお勧めする。それに、子供に読み聞かせないとしても、大人が読む価値はあるだろう。
[ 2011/07/24 18:49 ] 本と言葉 子供の本 | コメント(0) | TB(0) |  TOP△

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