「しとらす」

新聞に載っていた「スイカのシャーベット」のレシピを家人が切り抜いておいたのを、何の気なしに見ていたところ、こんな文言があった。

(1) スイカは皮と種をとり除く(正味量500g)。(2) 耐熱容器に(A)を合わせ、しとらせておく。(3) …


(A)というのはゼラチンと水だから、すること自体は判らないことはないのだが、「しとらせておく」が明確には判らない。『日本国語大辞典』を始めとして、我が家にある国語辞典を見ても、「しとらす(しとらせる)」は立項されていない。

「しとる」を引いてみると、「水分を含んでしっとりと濡れる。しめる。しける」とある。漢字を宛てれば「湿る」である。
徳田秋声の『新所帯』から「湿った塩煎餅を猫板の上へ出した」、北原白秋の『桐の花』から「薄紫の涙に濡れ潤ったやるせない寂しい微光の雰囲気を」、その他の用例が引かれていた。

これらから類推すれば、件の「しとらせておく」は、「しめらせておく」というような意味合いなのだろう。先のレシピの用例も、そのように考えて差し支えなさそうである。ゼラチンを水に溶かして、しばらく置いておくわけである。
それほど一般的なことばとも思われないが、料理のレシピに載っているくらいだから、料理専用語(一種の業界用語)として、問題なく通用するのだろう。

さて、「しとる」は『日国』において、主として一般語としての解説がなされているけれども、『新明解国語辞典』(第3版)は、〔方〕すなわち方言として立項する。『日国』でも、方言として諸資料が引かれていて、「江戸/東京/神奈川県津久井郡/山梨県南巨摩郡/和歌山市/山口県柳井/徳島県/高知県/長崎県諫早/熊本県南関」とある。

ちなみに、北原白秋は、熊本県南関生まれ。徳田秋声は…方言とは関係なさそうである。

http://soramitu.net/zakki/

「しとど」あたりと関係があるんでしょうね。
[ 2011/09/09 05:56 ] [ 編集 ]

Re: 三友亭主人 さん

「しとど」も含めて、元々、「しと」に湿ったような状態の意味があるんでしょうね。『日国』を見ると、関係のありそうなことばとしては、「しとしと」「じとじと」「しとむ」「しとめく」「しとら」「しとり」、方言として、「しとっぽい」「しどろ(=湿地)」などがあります。

なお、「しと」単独でも、「しとを打つ」(水を撒く)と言う言い方をする地域があるようです。また、宮城県仙台の方言として、「しとをぶつ」(赤飯などを焚く時に途中で水を打つこと)とありました。
[ 2011/09/09 15:18 ] [ 編集 ]

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