『羊飼いの指輪』

ロダーリ『羊飼いの指輪―ファンタジーの練習帳』

羊飼いの指輪――ファンタジーの練習帳 (光文社古典新訳文庫)

以前、『猫とともに去りぬ』を紹介した、ジャンニ・ロダーリの作品。

嘘をつく度に鼻が伸びるピノッキオ。次々に嘘をついて鼻を伸ばしては伐り、それを材木として売って大金持ちになったのだが…。(「ぬけめのないピノッキオ」)
惑星ボルトに暮らしている幽霊が、誰も驚いてくれないことに困り果てて地球への移住を決意する。シーツをはためかせながら地球へと旅立って行った幽霊たちは…。(「哀れな幽霊たち」)
etc.…。

収められている20篇の物語には、それぞれ3つの結末が書かれている。「練習帳」などと言うと、堅苦しい学習教材のように思えてしまうかもしれないけれども、これは、いろいろな結末の中から、自分の好きな結末を考えて、想像を膨らませて楽しむためのもの、あるいは、楽しむ練習をするためのもの、である。

強いて難点をあげれば、巻末の「著者の結末」で、特定の結末に対して「間違っている」「不条理だ」「あり得ない」などと言われていたり、予定調和的な結末が良しとされていたりするのを見ると、少々興醒めな気がしないこともない。
が、ロダーリは結末の好き嫌いを言っているだけで、読者にそれを押しつけているわけではない。ロダーリの選んだ結末が気に入らなければ、読者は自分の好きな結末を選べば良いのである。

「ファンタジー」と銘打っているだけに、子供が読んでも楽しめるようなものが多いけれども、極悪非道の科学者を描く「ドクター・テリビリス」、夜になると聞こえて来る泣き声に導かれて世界中を歩き回る老紳士の物語「夜の声」、アルデバラン星人を乗せたタクシーの運転手の冒険譚「空へ向かうタクシー」など、『猫とともに去りぬ』に通じるようなアイロニーに満ちた作品もある。

どちらか一冊、と言われれば『猫…』を選ぶが、本書もなかなか捨てがたいものであるのに違いない。

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