語源

民主離党者:「新党きづな」に名称決定

民主党に離党届を提出した内山晃元総務政務官ら衆院議員9人は3日、国会内で会合を開き、新たに結成する政党の名称を当初予定の「新党きずな」から「新党きづな」にすることを決めた。絆という言葉の語源が「綱」や「つなぐ」だとの意見が複数のメンバーから出たことから修正した。4日午前に総務省へ新党結成を届け出る。(毎日JP)


個人的には政治的な主張や意見はあるけれども、それを殊更に表明しないことを旨としてゐるので、民主党離党者が「新党きずな」を結成しようと、それをどうかう言ふつもりはなかつた…のだが、この記事には唖然とした、といふより、それを通り越して苦笑を禁じえなかつた…ので書く。

まづ、「絆という言葉の語源が『綱』や『つなぐ』だ」といふのは、少々イイカゲンな感がある。
「絆」とは、元々動物を繋ぐ綱のことを言つた。「首綱(くびづな)」の転とも言ふ。それが抽象的な意味に転じて、断ち切り難いしがらみといふやうな意味になる。「やた管ブログ」の「なぜか「絆」がいけ好かない」「「絆」再び」を参照のこと。

「きづな」の「づな」の語源が「綱」であるといふのは間違いではないが、「きづな」と「つなぐ」に直接の関係はない。「つなぐ」の「つな」の語源も「綱」で、「絆」と「繋ぐ」の「づな(つな)」が同根だ、といふだけのことである。

この「複数のメンバーから」の意見は、聞き齧りの生知識の感は否めないが、それは問はないこととしよう。
苦笑を禁じえなかつたのは、語源が「つな」だから「きづな」にする、といふ理屈である。これは、「哀れ」の語源は「あ、はれ」だから、「あわれ」ではなく「あはれ」と書かう! と言つてゐるやうなもので、それを言ひ出したらすべてのことばを歴史的かなづかひで書かなければならなくなる。
その論法で行けば、「地盤」といふことばは現代かなづかひでは「じばん」だが、語源としては「地」だから「ぢばん」と書いた方が良いだらう。「ぢばん」との「きづな」=土地との繋がりは、代議士の先生方にとつて、選挙戦を勝ち抜く為に最大級に大切なもののはずである。

「きづな」といふ表記に、「人々の心を繋ぐ」とか「人と地域を繋ぐ」とか、あるいは「国民の頼みの綱になる」とか、綱に絡めた意味合ひを籠めたといふのならともかく(その是非・当否は措いて)、もともと「新党きずな」が予定されてゐたのだから、そんなこともないだらう。
「きづな」といふことばだけ語源に拘はつて表記を「きづな」にした、といふのでは、半可通ぶりを曝け出してゐるやうにしか思はれない。

語源がどうのかうのと言つてゐたら、こんなふうになつちやいますよ、といふのが本エントリの趣旨のひとつ。
[ 2012/01/06 00:02 ] 理屈・屁理屈 | コメント(0) | TB(0) |  TOP△

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