『青矢号』

ジャンニ・ロダーリ『青矢号 おもちゃの夜行列車』

青矢号―おもちゃの夜行列車 (岩波少年文庫)

読む本がないと言って娘(小学5年)がグダグダしているので買って来た本の内の1冊。

カバーの内容紹介に、

年に一度、子どもたちがプレゼントを心まちにしている夜のこと。ショーウィンドーにならぶおもちゃたちは一大決心、みんなで青矢号にのりこみ、お店をぬけだします。めざすは、まずしいフランチェスコの家! ゆかいで感動的な大冒険。

とある。

これを見る限り、小気味良い冒険物語のようだ。少々子供じみているかとも思ったのだが、あまり背伸びしてみても仕方がない、年相応だろうと思って選んだ。
たまたま同じ日に、家内が『怪盗ルパン』を買ってやっていて、それを読み始めていたので、まずは僕が読んでみた。

イタリアでは、1月6日の公現祭の前夜に魔女のベファーナが子供たちにプレゼントを配って廻る。だからその日をベファーナの日という。
ベファーナはサンタクロースのような存在だから、本来なら誰にでも公平に(もちろん良い子なら、という条件付きだが)プレゼントを配るはずである。が、このお話の中ではそうではない。
このお話の中のベファーナは、おもちゃの代金を払った家にしかプレゼントを配らない。何故なら、「物語の中のベファーナ」ではない「ほんもののベファーナ」は、おもちゃを売ったお金で生活して行かなければならないからだ。

電気機関車が欲しくて堪らないフランチェスコの家は、貧しくてお金を払えない。だから、フランチェスコにプレゼントが配られることはない。
そこで、おもちゃたちは機関車青矢号に乗って、勇躍フランチェスコの家に向かう。幾多の困難を乗り越えてフランチェスコの家に到着した一行がそこで見たものは…、と、これ以上、内容を書くことは控えるが、これではどうにも単純な痛快冒険活劇とは言うことができない。

この作品が、子供が読んで楽しめるすばらしいファンタジーであるのは言うまでもないのだが、大人が読んでもしみじみと感動できる物語である。小犬のぬいぐるみのコインの、フランチェスコに対する切なく純粋な思いが心に沁みる。

「まずは僕が読んでみた」のは、情操教育上、子供に与えて良いものかどうかを判断する、というような検閲めいたことのためではない。あくまでも僕が楽しむためである。
子供が子供なりの楽しみ方ができて、大人も大人なりの楽しみ方ができる。それが、優良な児童文学のあり方だと言えるだろう。大人が読んで面白いようなものでなければ、子供だって本当に面白いわけがないではないか。
[ 2010/09/21 21:31 ] 本と言葉 子供の本 | コメント(0) | TB(0) |  TOP△

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