『秘書綺譚』

ブラックウッド『秘書綺譚 ブラックウッド幻想怪奇傑作集』

秘書綺譚: ブラックウッド幻想怪奇傑作集 (光文社古典新訳文庫)


冒頭の一篇、「空家」は、次のように始まる。

ある種の家は、ある種の人間と同様、のっけから邪悪な性格を示している。


のっけから引き込まれる一文である。
「幻想怪奇」の内容を紹介したところでまるで意味がないので、止めるけれども、最初に引き込まれたまま、一気に読んでしまえる面白さである。
表題作のような、やや猟奇的な内容のものもあるけれども、多くはもっと心理的な怪奇小説である。
むろん、僕の好みだから、万人におススメできるわけではないが。

裏表紙の書籍紹介に、「芥川龍之介、江戸川乱歩が絶賛したイギリスを代表する怪奇小説作家」とあった。それで、興味を持って購入したのだが、読んでみて、さもありなん、と思わせるものはある。
(芥川の文章は、読んだことがあるはずだがまったく覚えていなかった…。)

ところで、本書が収められている光文社古典新訳文庫のキャッチ・コピーは「いま、息をしている言葉で、もういちど古典を」である。僕は、このコピーが好きではない。
『罪と罰』の中村白葉訳が、「いま、息をしている言葉」だとは感じられないのだとしたら、それは残念なことである。それが、僕がこのシリーズをあまり手にしていない理由なのだが、それはそれとして、なかなか面白い本を出しているのは間違いがない。

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