新潮文庫の100冊

毎年夏になると展開される『新潮文庫の100冊』フェア。
角川や集英社にも同様の企画があるけれども、これが一番、「良い本を読んでもらいたい」という意識が濃厚なように思われて、毎年、2~3冊だが買って読んでいる。
だが、この『100冊』も、年を追うにつれ、他社と似たような方向にシフトしているように見える。セールスのための企画である以上、売れるもの、売りたいものがセレクトされるのは当然のことではあるが、少々寂しい気もする。

そんなわけで、僕ならこの作品も選ぶ、というものを、勝手に10冊追加する。
商業的な企画に対して、「この作品は大したことないから外して差し替える」というような僭越なことはしない。『100冊』はその100冊のままで結構。
名付けて、『新潮文庫の100冊 勝手にプラス10冊』。


1.森鴎外『雁』
雁 (新潮文庫)

鴎外が選ばれていないのは、むしろ驚きだ。以前は2冊入っていたこともあるはずだが。
現代の若者にとって取っ付きにくいのは判る。が、それとこれとは話が別だろう。多少苦労してでも、古典的な名文を読んでみる価値はある。
読んだ結果、「難しい」「つまらない」と思ったとしても、それはそれなりの意味がある。とはいえ、『阿部一族・舞姫』ではさすがに閾が高すぎるだろうから、これを選んでみた。

2.山本周五郎『赤ひげ診療譚』
赤ひげ診療譚 (新潮文庫)

個人的には『青べか物語』のような程よく力の抜けたものも好きなのだが、人に薦めるのならやはり「人生とは」ということを考えさせるようなものの方が良いかもしれない、と思っての選択。
山本周五郎も、以前『樅ノ木は残った』か何かが入っていたような気がする。

3.吉村昭『天狗争乱』
天狗争乱 (新潮文庫)

吉村昭の歴史小説はどれも好きで、一つには絞りがたいのだが、ここのところ大河ドラマの影響で幕末ブームだから、それに乗っかってこれを選んだ。
好みの合わない人にとっては、まったく面白くないだろうけれども、動乱期で事件の多い中、スポットを当てられることの多くはない天狗党の乱を克明に描いた大作。

4.井上靖『あすなろ物語』
あすなろ物語 (新潮文庫)

一応、この作品を選んだけれども、正直なところ、「どれでも良いから読むべし」という思いである。『しろばんば』でも『風林火山』でも、とにかく1冊くらいは読んでおいて損のない作家である。

5.川端康成『伊豆の踊子』
伊豆の踊子 (新潮文庫)

川端の作品では、既に『雪国』が選ばれている。特に好きなわけではないけれども、漱石・太宰・三島・その他現代作家で2冊入っていることもあるのだから、川端のものももう1冊入っていた方がバランスが良いんじゃないか。


最初に「10冊追加」と書いたが、長くなったので今回はここまで。続きはまた今度。
[ 2010/08/10 21:42 ] 本と言葉 閑話 | コメント(0) | TB(0) |  TOP△

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