「家のなかではははは」

幸田文の『みそっかす』で、継母のことを、文は「はは」と表記する。
たとえば、昨日「『みそっかす』より」で取り上げた後の例に続く部分に、

なぜはははああも立腹したのだろう、なぜあんなに激しく蛇を叩き殺したのだろう。(花見さん)


とあるようなものである。
「なぜはははああも」というのは、少々判りにくい気もするが、注意して読めば、「なぜ―はは―は―ああ―も」以外には読みようがない。

だが、次のものはどうか。

表向には芸術家とあつかって尊敬をよそおったが、家のなかではははは、「たかが芸人づれが」と、おおっぴらに嘲笑っていたのを私は何度も聞いた。(口上)


間違って「家の中で」で切ってしまうと、「はははは」というのがさっぱり判らない。
一瞬迷ってしまったが、ここはむろん、「家のなかでは―はは―は」である。

ただ、それだけである。

附。
なお、この文も、昨日取り上げた例と同じように、「家の中ではははは、―…おおっぴらに嘲笑っていた」という文脈が、「おおっぴらに嘲笑っていたのを―私は何度も聞いた」というふうに、転換している。

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