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逆接の接続助詞「を」に関する断片語(2)

逆接の接続助詞「を」に関する断片語(1)」の続き。

「年を経て呼ばひわたりけるを」の「を」が接続助詞であるとして、「年を経て呼ばひわたりける」と「からうじて盗み出で」とが、逆接で接続されるべき内容であるか否かは、俄かには判断しがたい。
「年を経て呼ばひわたりける、空しくなりにけり」などとあれば、逆接と断定して良いかもしれないけれども、「年を経て呼ばひわたりける」と「からうじて盗み出で」との間には、そこまで明確に逆接と判断しなければならない理由を感じられない。

大前提として、ことばというものは、前から順番にしか、読み・聴くことはできないものである。
たとえば、

「身体が痛いが 我慢した」

という場合に、「我慢した」を聴くまでは「身体が痛いが」の意味を理解できず、

「身体が痛い* 我慢した → (身体が痛い)が=逆接」

という理解の仕方をする、ということは、絶対にない。「身体が痛いが」の時点で、「が」が逆接であることは、理解できる。否、できなければ、ことばは通じないのである。

だから、前掲の例で、「年を経て呼ばひわたりけるを」の段階では、「を」の意味を判別できず、「からうじて盗み出でて」とか「いと暗きに来けり」を読んだ時点で、漸く前置する「を」の意味がわかる、などということはありえないのである。
「年を経て呼ばひわたりけるを」という表現は、後ろにどんな言葉が来ようとも(あるいは来なかろうとも)、その時点で、理解できなるのでなければならない。

「年を経て呼ばひわたりける」は、「女の、え得まじかりける」に対する目的(被修飾語)である。むろん、「男」を主語とする述語ではあるけれども、文としては、主語は顕示されていない。
が、「年を経て呼ばひわたりける」が連体形であることを考慮すれば、これが「年を経て呼ばひわたりける(女)」を表わしている可能性も、あるわけである。だとすれば、その「年を経て呼ばひわたりける(女)」は、「からうじて盗み出でて」の目的(被修飾語)と考えられるのである。

「断片語」と書いた割には長くなったので、一足飛びに結論を書く。
この文は、内容的には

女の、え得まじかりけるを、年を経て呼ばひわたりけり。
                  年を経て呼ばひわたりける(女)を、からうじて盗み出でて、いと暗きに来けり。


という2文で表わしうる内容を、「年を経て呼ばひわたりけるを」が前置する部分に対する被修飾語であると同時に後接する部分に対する修飾語としての2重の機能を果たすことによって、1文に凝縮しているのである。

なるほど、よく分かりました。
作者が、「こっちは格助詞の「を」、こっちは接続助詞の「を」」なんて考えてたわけはなく、同じ「を」を使っているからには、どちらも同じ意識(連用修飾格?)で使ってたと考えた方が通りはいいですね。
現代的には「を」が連続して出てくる文章は悪文ってことになっちゃうんで、後の「を」を接続助詞として解釈したくなるということでしょうか。
[ 2012/08/11 03:34 ] [ 編集 ]

Re: 中川@やたナビ さん

よく分かってくれてありがとうございます。こういう考えは、あまり国文学専攻の人には受け入れてもらえないんですよ。(僕も自分では国文学専攻のつもりなんですけど、周りからはあまりそう見て貰えないので…)
あ、それから、高等学校では教えない方が良いですね。ここは接続助詞と答えないと、大学受験には失敗します。

> 現代語には「を」が連続して出てくる文章は…

その通りだと思います。
現代語でも会話なら、話している途中で観点が変わって、最初と最後はまったく関係ない内容になっている、ということが多々起こりますが、文章語からはそういうものは排除されます。
そういう現代文章語の論理を古代文章語に当てはめると、接続助詞として論理関係を明確にしないとすっきりしない、ということだと思います。
一番大事なのは、前から順番に読む、という単純なことなんです。これは現代語でも古語でも同じです。

今見直してみたらきちんと書いてなかったんですが、「年を経て呼ばひわたりけるを」の「を」も格助詞(連用修飾格)です。
[ 2012/08/11 07:53 ] [ 編集 ]

>あ、それから、高等学校では教えない方が良いですね。ここは接続助詞と答えないと、大学受験には失敗します。

いや、逆に(その1)を知らなかったら、何も考えずに両方格助詞って教えちゃうところでしたよ。
で、解答を見た生徒にバカ扱いされると。
それ以前にもう何年も古典教えていないんでセーフ。
[ 2012/08/13 00:35 ] [ 編集 ]

Re: 中川@やたナビ さん

> いや、逆に(その1)を知らなかったら、何も考えずに両方格助詞って教えちゃうところでしたよ。

そこなんですよ。大事なのは。
素直に考えれば格助詞なのに、「古典だから」っていう理由で難しく考えちゃうんですよ。
もちろん古典と近代で違うところはありますが、共通するところも大きいですからね。
[ 2012/08/13 21:21 ] [ 編集 ]

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