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『月の満ちかけ絵本』

書店の店頭で見掛けて、衝動買いした本。

大枝史郎・文 佐藤みき・絵『月の満ちかけ絵本』

月の満ちかけ絵本

絵本だと思って馬鹿にしてはいけない。この本に書かれていることを、大人がどれだけ理解しているか、読んでから判断した方が良いだろう。
暦としての月を、新月から始まって、満ちては欠けて行く様子を日を追って説明して行く。
科学的知見と暦の歴史と古くからの風習とがミックスされて語られて行くから、立体的な説明になっている。
易しく書かれてはいるものの、中には子供には簡単には判らないだろうと思われるところもある。きちんとした知識を持っていないと、訊かれた親も答えられないかもしれない。
かく言う僕も、子供に訊かれたわけではないけれども、ちょっと調べ直したところはある。もちろん、細部まできちんと判らなくても、読み通してみれば、おおよそのところは判るだろう。そして、あまり細かいところより、おおよそのところを理解しておくことが、大切だろうと思う。

高校1年生の頃、古文の授業で、月の名称を教わった。その教諭に古文を習っているクラスだけテストの平均点が格段に高かったほどの非常に指導力のある人で、感謝はしているのだが、月の名称に関しては、16日が十六夜月、17日が立待月…ということを叩きこまれても、さっぱりピンとは来なかった。
その後、自分で勉強するようになって、多少は判るようになったのだが、今に至るまで、月の名称に対して何となく苦手な感が抜けなかった。本書のような説明をされれば、ストンと胸に落ちて、ただの知識の丸暗記ではなく理解することができただろう。

もっとも、細かいことだが1つ気になる点はある。
「居待月」の説明に、

秋の18日目の月は、前の晩よりも、約40分おそく昇ってくる。
のんびりしたむかしの人も、さすがに立って待つのはたいへんだった。
それで、この日は「家の中に居て、待つことにしよう」と考えたから、「居待月(いまちづき)」と呼ばれるようになった。


とある。
そういう説もあるのかもしれないが、立待―居待―寝待の順であることからすれば、立つ―中に居る―寝ると取るのは不自然で、立つー坐るー寝ると考えるべきだろう。とは言え、これは瑕疵とまでは言えないだろう。

もう1箇所紹介しておくと、「陰と影のちがい」というコラムめいた短文がある。

・陰は、光が「もの」の表面にあたると、その後ろ側は、光があたらず暗くなるところ。「物陰」。
・影は、光が「もの」にさえぎられて、地面などにできる暗い部分。「影踏み」。


なかなか鋭いところを突いていると思う。大事なのは、「陰」と「影」がどちらも日本語では「カゲ」と言うことである。漢字の書き分けで説明できるとしても、元来、どちらも同じものとして捉えていた、ということを押えておく必要がある。どちらも、光源から発せられる光によって起こる現象である。
更に言うと、「月影」「星影」「火影」などの「カゲ」は、光源そのものを指す。つまり、日本語では、光源も、光源によってできる暗部(それが2種類に分けられる)も、「カゲ」ということばを以て表現していた、ということである。本書でそこまで述べられているわけではないけれども、そういうことを考える切っ掛けにはなるだろう。

最後に、本書とはあまり関係のない余談だが、学生時代、漢詩を作る授業を取っていて、「東の空に月が、西の空に日が…」というような文句を並べて提出したら、担当の老講師に、そういう状況は春にしか起こらない、適当に作られては困る、と評された。
「春にしか」云々は、蕪村の「菜の花や…」の句を念頭に置いて言われたものだろうが、これは講師の誤りである。適当に作った、というのがまったくもってその通りだったから、(そしてそのことの方がより重要だったから)反論はしなかったけれども…。

何はともあれ、おススメの本である。
[蛇足]
ところで、「12月14日」のエントリで、四十七士の討ち入りの当日、「深夜(未明)には、ほぼ満ちた月が、西の空に皓々と照り輝いていた」と書いた。何故そんなことが言えるのかは、本書を読めば、一目瞭然に判る、とまでは言わないけれども、本書を読んで少し考えれば理解できるようになるだろう。
[ 2013/02/21 23:32 ] 本と言葉 子供の本 | コメント(0) | TB(0) |  TOP△

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