識者によれば…

気になったニュース(?)。

ひな祭りは本来巳の日に行うもの 今年は4日にやるべきと識者

本来ひな祭りは3月3日ではなく、3月最初の“巳(み)の日”に行われていたことをご存知だろうか?

「子(ね)・丑(うし)・寅(とら)…の十二支は、年だけでなく、日にちにもあてはまります。今年の3月最初の巳の日は4日。ひな祭りは3月3日ではなく、4日に行うことをおすすめします。
財運をつかさどる弁天様の化身である巳には金運を上げる効果があるので、巳年である今年のひな祭りは、とりわけ金運アップの効果があるんです」

こう話すのは、ひな祭りに詳しい占いカウンセラーのハーティ・心優(みゆう)さん。
ひな祭りに欠かせないお菓子といえば、ひなあられ。その食べ方ひとつで、金運が左右されるという。

「ひなあられが緑、白、ピンクの3色に色づけがされているのには、深い意味があります。緑は“草萌ゆる大地”、白は“清浄・浄化”、ピンクは“桃の花”を意味しており、いずれも生命力の証。この生命力こそが、金運の“芽”の源なんです」(ハーティ・心優さん、以下同)

ひなあられは、もともとは子供が外で人形遊びをする“ひな遊び”の際に持っていた携帯食料だったという説がある。つまり外に出てこそ、その効果が最大限に引き出されるのだ。

「金運の花を咲かせるには、自分自身の生命力を高めることが大事。外に出て、太陽の光を浴びながらひなあられを食べるといいでしょう。その数は、末永く幸運が続く“末広がり”で、金運に良いとされる8がベストです」

※女性セブン2013年3月14日号


ある人が何かについての「識者」であることは、かならずしもその人の職業の如何とは関係がないから、占い師が雛祭りについての識者であっても別段問題ではない。それに、「女性セブン」の記事をまともに取り上げても仕方ないと言えば仕方がないのだが、「識者」が言っているのなら…と無条件に信じてしまう人もいないではなかろうから、ひと言書いておく。

「ハーティ・心優さん」のことばの中には「本来云々」は見当たらないからどのような根拠で物を言っているかは判らないけれども、「本来ひな祭りは3月3日ではなく、3月最初の“巳(み)の日”に行われていたことをご存知だろうか?」と言われても、ご存じなかったとしか言いようがない。
古代から「上巳祓(じょうしのはらえ)」というものがあって、これが3月最初の巳の日に行われていた。また、同じ日に、曲水宴(ごくすいのえん)と呼ばれる行事が行なわれた。『日本書紀』の顕宗元年(485)の記事が初出らしく、そこには「三月上巳」と明記されている。
それを、文武天皇5年(701)から3日に改めた。中国では魏の頃から3日に行なうことに改められていたといい、本邦でもそれを倣ったものである。
曲水宴は元々宮中の行事だが、臣下の私邸でも行なわれており、万葉集巻第19に「(3月)3日、守大伴宿禰家持の館に宴する歌三首」(4151~4153)として載せられる歌も、この宴での詠である。

では、『日本書紀』を根拠に、「本来は…3月最初の“巳の日”に行われていた」と言えるかといえば、否である。曲水宴は盛大な宴会ではあるけれども、「雛祭り」ではないからである。

もっとも、3月上巳の日と「人形」がまったく関係なかったかというとそういうわけでもなく、

弥生の一日に出で来る巳の日、…この国に通ひける陰陽師召して、祓へせさせたまふ。舟にことことしき人形(ひとかた)乗せて流すを見たまふにも、よそへられて、…(源氏物語・須磨)


というように、人形を流して祓をするということはあったようだが、これを「本来」の「ひな祭り」と見做すのは無理である。現在、各地に流し雛の風習があるにしても、それを雛祭りの本来の形とするのは短絡だろう。

女の子の人形遊び自体は古代からあり、たとえば、

過ぎにし方恋しきもの ひひな遊びの調度。(枕冊子・過ぎにし方恋しきもの)

ひひな遊びにも、絵描いたまふにも、源氏の君と作り出でて、きよらなる衣着せ、かしづきたまふ。(源氏物語・若紫)


というような例は見られる。けれども、これは、現在の雛祭りのような日を決めての行事ではない。これを雛祭りの原型と見做すのなら、雛祭りは何時やっても良いことになる。

そもそも、「本来」をそれほどまでに重視するのなら、旧暦でやるべきではないのか?

もうひとつ突っ込んでおくと、「巳年である今年のひな祭りは、とりわけ金運アップの効果があるんです」云々というのは、本来の上巳祓や曲水宴の趣旨とは無縁であるのみではなく、現在の雛祭りの趣旨とも、大きく乖離している。
金運アップは大切なことかもしれないが、それは雛祭り以外の別の機会にやった方が良い。
[蛇足]
このエントリの史的根拠は、そのほとんどを山中裕先生の『平安朝の年中行事』(塙選書)に負う。こんなことのためにご高著を使用したことを、重々お詫び申し上げる。

なお、同書によれば、魏で巳の日が3日に改められたのは、「巳は陽のきわまりし日で不詳日とされた」からだそうである。「本来」の意味からすれば、到底金運がアップするとは思われない。
[ 2013/03/03 22:44 ] 歴史 | コメント(2) | TB(0) |  TOP△

>金運アップは大切なことかもしれないが、それは雛祭り以外の別の機会にやった方が良い

お金はほしいけれど・・・風情を考えれば・・・ね。お雛様と金運ではちょいと・・・同じ場所に存在は出来るものじゃあないでしょうね

まあ、娘のいない私にとって(190cmの大男二人を息子に持つ)、お雛様は無縁のもの・・・となれば、3月3日といえど風情を考えず金運をアップさせたいとは思うのですが・・・そのd才覚がない。
[ 2013/03/04 23:13 ] [ 編集 ]

Re: 三友亭主人 さん

こんなことは一々目くじらを立てることではないんですが、「本来」云々と言いながら、行事本来の姿をまったく顧みていないところに、思わず反応してしまいました。
[ 2013/03/05 22:17 ] [ 編集 ]

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