『キャパの十字架』

沢木耕太郎『キャパの十字架』

キャパの十字架

「キャパ」というのは言うまでもなく、高名な戦場カメラマンのロバート・キャパのことである。

フォトジャーナリズムの最高峰と言われる(らしい)写真「崩れ落ちる兵士」。
スペイン戦争時に共和国軍兵士が反乱軍に撃たれて倒れる瞬間を収めた写真として、キャパの出世作、代表作となっている。
超望遠レンズも連写装置もない当時、そんな決定的瞬間を収めることは、ほとんど不可能に近い。敵兵に撃たれた兵士のすぐ近く、すなわち銃弾が飛び交うまん真ん中にいて、初めて撮ることのできるものである。
だから、似たような写真は、ほかにはない。それが、「最高峰」たる所以なのだろう。

そんなこの写真に対する評価に、本書は疑義を呈している。
この写真が撮られたのは戦闘時ではないこと、兵士は撃たれて倒れたのではなく滑って転んだだけだということ、そしてそれを撮ったのがキャパではないこと。
この写真に対する疑義自体は、以前からあったらしいけれども、本書では更に徹底的な取材や考察を積み重ねて論証がなされている。

僕自身が、従来の通説をきちんと知ってはいない(Wikipediaにもこの問題が取り上げられているが、残念ながら一方的に沢木の文脈で書かれていて、あまり参考にはならない)ので、何とも言えないところではあるけれども、(推測の部分も多々あるものの、)本書の論述はかなり説得力のあるものになっていると言って良いだろう。すくなくとも、相当の反証のない限り、写真の兵士が戦闘中に撃たれたと考えることは、難しそうである。

なお、本書掲載の写真は、キャパらが設立したマグナム・フォトが貸与したものだという。「マグナムは必ずしも沢木氏の本の内容を認めているわけではない」との1文を入れることが条件だとはいえ、キャパの名を貶めかねない著作への掲載を拒まないフェアさには、感心した。
本書の内容が正しかったとしても、それでもキャパは偉大だった、ということである。

これ、NHKでやってたの見ました。
映像で再現していて、説得力がありました。
ゲルダが使っていたのが6x6のローライだったっていうのが、謎解きとして面白かったです。
[ 2013/08/02 17:24 ] [ 編集 ]

Re:中川@やたナビ さん

僕はテレビは見てないんですが、読みながら、これは映像向けだな、と思いました。再放送しないかなぁ。
[ 2013/08/03 13:53 ] [ 編集 ]

コメントの投稿











管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://hoshinahouse.blog101.fc2.com/tb.php/784-be20c547