『なんでもわかる恐竜百科図鑑』

小畠郁生・南村喬之(画)『なんでもわかる恐竜百科図鑑』(朝日ソノラマ)

なんでもわかる恐竜百貨図鑑 なんでもわかる恐竜百貨図鑑

リンクがないのには理由がある。これが新刊では買うことのできないものだからである。
表紙の絵がずいぶん懐かしく感じる方もいるかもしれないが、それもそのはず、これは昭和48年(1973)に出版された、僕が小学校低学年の頃の図鑑である。先日、「日本の古本屋」で見つけて購入した。

現在の恐竜研究の水準からすれば、この図鑑で「なんでもわかる」とは到底言うことができない。むしろ、間違った知識を植え付けられる危険性が極めて高い。
たとえば、ティラノサウルスは上の絵のとおり、ゴジラのように直立していた。本当は、ゴジラがティラノサウルスのような姿勢をしていると言った方が良いのだろうが。
ブラキオサウルスを始めとする竜脚類は、巨大な身体に掛かる負担を、水の中で生活することによって減らしていた。長い首を伸ばして水上に顔を出して呼吸をしていたのである。そのことによって、肉食恐竜から身を守ることもできた。
ほかにも、パキケファロサウルスは硬い頭を武器に頭突きをして闘っていたし、エドモントサウルスは二足歩行していた。また、多くの四足歩行の恐竜の足は、トカゲのように身体の横に突き出していたのである。長い尻尾を地面に付けて引きずって歩いていた恐竜も多かった。
今の恐竜の常識では、それらはすべて否定されている。でもそれらは、僕が子供だった頃に恐竜について持っていた知識そのものなのである。そして、比較的最近になるまでかなりの部分信じていたことでもある。

本書を買った理由は、ひとつには子供の頃の思い出、郷愁であるのだけれども、もうひとつには、素人が、科学の進歩をこれほどまでに目に見える形で実感できることも珍しいのではないかと思ったことである。
比較するためには、古いものを手に入れなければならない。が、今では恐竜の常識が大幅に変わってしまったから、こういう昔ながらの恐竜像を探そうとしても、容易には見つけることができなかった。それが漸く、見つかったのである。と言っても、然程真剣に探していたわけではないが…。

間違ってはいけないのは、ここには嘘が書かれているのではなく、当時は正しいと考えられていたことが書かれている、ということである。
正しい(と考えられている)ことは常に変化する。一昨年の恐竜博の時、ティラノサウルスに羽毛が生えていた可能性があることを知って驚いた記憶も新しいが、その後羽毛恐竜は、続々と増えているようである。最新の恐竜図鑑も、いつか笑い話のようなことになる日が来るかもしれない。

今の恐竜の知識をそれなりに持っている息子も、昔の恐竜がこんなものだったことを知って楽しんでいる。今の知識を持っていることが前提だけれども、本書はかなり興味深いものだといえるだろう。
[ 2013/08/03 23:19 ] 本と言葉 図鑑 | コメント(0) | TB(0) |  TOP△

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