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附箋を剥がす(15) Including 「全然」(その16)

「附箋を剥がす(14) Including 「全然」(その15)」に続いて、『久生十蘭短篇集』(岩波文庫)より。

いくら年月がたったにしろ、あのいきさつを考えたら、かりに東京へ出てきたって、厚顔しく電話なんかかけて来れる義理はないのよ。だいいち東京へ出てくること自体、あまり人をバカにした話でしょう。(「猪鹿蝶」P291L2)

どうしてやろうと思うと、眼がチラチラして、まわりのものがみな浮きあがってくるみたい。どうしたって、このままでは帰されない。(P294L8)


「a-r抜き」と「a-rあり」。同じ作品内でどちらも出て来たので、ちょっと面白いかと思って取り上げた…が、本当はたぶんそんなに気にするようなことではない。
なお、先の例文の中の「厚顔しい」もちょっと気になったが、これは「コウガンしい」ではなく、「アツカマしい」である。

やっぱり聞きたいんでしょう。だからつまらない強情を張るのはおよしなさいっていうの……そこは腕よ。その気になったら、志貴子ぐらい釣りだすぐらい、ぜんぜんお軽いのよ。(P299L11)

「すると、悪い影響はたいして受けていないのですか」
「そのほうの知識は全然欠如していて、あの齢の少年なら誰だって知っているようなことすら、ほとんどしりません。(「母子像」P335L5)


否定と呼応しない「全然」の例。昭和26年、29年の事例。

「よすことはない。あんなオペシャに百合の花なんか抱えて花嫁面をされちゃ、いい娘を戦争で死なせた親たちの立つ瀬がない。ああいう面構えは、眼鏡でもかけて、女学校で生徒を苛めていりゃいいんだ。僭越だよ」(「春雪」P378L5)


左近を打たせた」「続「左近を打たせた」あるいは「女に別れる」4たび」で取り上げた、使役の使い方に関連する例。

海に向いた二階の部屋はみな目隠しされてしまったが、この家は建上りが高いので、二百米ほどむこうの島にある俘虜収容所の板塀越しに、バラックの棟を並べた白茶けた中庭がのぞける。(P382L9)


この「のぞける」は、ふつうの動詞「覗く」で、「隙間から見る」意に取っても差し支えなさそうだが、「一部分があらわれる」意の「覗ける」と取った方が良いように思う。「のぞける」については、以前「附箋を剥がす(11) Including 「全然」(その13)」で取り上げた。

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