4時間の空白

それまでまったく気づかなかった簡単なことに、ある時突然目から鱗が落ちるように気づくことがある。
伊勢物語の第4段など、100回ではきかないくらい読んでいるだろうに、つい先日初めて気づいたことがあった。

「あばらなる板敷に月の傾くまで臥せりて、去年を思ひ出でて詠める。『月やあらぬ……』と、詠みて、夜のほのぼのと明くるに、泣く泣く帰りにけり。」

『岩波古語辞典』には、「ほのぼの」は「あけぼののうす明るいさま」とあって、この用例が上げられている。
それに疑問を感じる人はほとんどいないだろうが、問題は、この段に書かれている日付である。
「睦月の十日」すなわち旧暦1月10日、月の入りは午前3時頃である。一方、日の出は7時少し前頃。「月の傾くまで臥せ」っていた男は、4時間の間、一体何をしていたのか? ということである。
それが説明できないのであれば、4時間の空白はなかった、と考えるのが妥当だろう。
これは久しぶりに本気で纏めようと思っているのだが、先は遠そうなので触りだけ小出しにすることにしたのである。

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