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「全然」(その21)

池田香代子訳・エーリヒ・ケストナー『エーミールと探偵たち』(岩波少年文庫)より。

駄馬で引っぱるなんて、エーミールも友だちも、ぜんぜんかっこ悪いと思っていた。エーミールたちが想像していたのは、電気で走る路面電車だ。(P56L9)


否定と呼応しない「全然」の一例だが、「完全に」の意味に用いる用法とは違うように感じる。完全に、まったくもってかっこ悪いと解釈できないわけではないけれども、とってもかっこ悪い謂で用いられているように見える。

この訳、最近のものにはあまり見られない、テンポのあるなかなか良い文章だったので、古いものだと思い込んでいたのだが、奥付を見てみたら、初版が2000年だった。
とすればこれは、今ふうの程度強調の「全然」だということだろう。
日常会話ではまったく珍しくない用法だけれども、こうして文章化されているものを目にするのは、しかもそれが子供向けの翻訳小説では、それほどあることではないのではないかと思う。
それで、メモしておく次第である。

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