ノーベル文学賞2016(その19)

さすがにこれで最後だろう。

ディラン氏「文学とは違う」 ノーベル賞受賞ネット講演

 2016年のノーベル文学賞を受賞した米国人ミュージシャン、ボブ・ディランさん(76)が5日、受賞者に課せられた「業績にまつわる講演」を動画投稿サイト「ユーチューブ」などネット上に発表した。
 4日に米ロサンゼルスで録音されたものだという。27分余りで動画はない。
……
「私たちの歌は、生ける者の世界に生きている。文学とは違う。読まれるのではなく、歌われるべきだ」と述べ、「コンサートでもレコードでも、歌詞を、意図されたそのままに聴く機会を持ってほしい」と語った。(朝日新聞DIGITAL)


どこまでかっこ良いんだか。

『芸人式新聞の読み方』

以前に何度か書いたことがあるが、我が家では産経新聞を購読している。
産経新聞といえば、政権寄りで右方向に偏っているのは自明のことだが、それを認識してさえいれば、別段何の問題もない。そもそも、どこにも偏っていない報道機関などあるわけがないし、もし仮にあったとしたら、そんな詰らなくて役に立たないものはないだろう。
ただ、昨今の傾向として、朝日なら朝日、読売なら読売の主張を一方的に盲信して、それ以外の主張を間違いだと決め付ける傾向が強まっているように感じる。世の中に絶対的な正義なんてあるものではないのに…。

そんな中、この本は実に面白かった。

プチ鹿島『芸人式新聞の読み方』(幻冬舎)

芸人式新聞の読み方

「新聞は、キャラが違うからこそおもしろい。書いていることがばらばらだからこそ、読み比べる楽しさがある」と言う。

「「オバマすし報道」に見る読み比べの醍醐味」でオバマ大統領来日時、すきやばし次郎の高級鮨を半分残した、という記事を切っ掛けにその時の裏事情まで推測したり、SMAP解散報道や安保デモの人数の記事を読み比べたり…と、テーマは様々。
2014年のソチ五輪の報道で、日刊ゲンダイが2月8日にガキの遊びのスノボが五輪競技か、とボロクソに書いていたのに、日本勢がメダルを取った途端の13日、かつてガキの遊びとボロクソに言われた時代があったが…、と言を翻したことなど、新聞をここまでしっかり読んでいると本当に楽しいだろうと思う。
リオ五輪の閉会式の「安倍マリオ」の真相? など、かなり東スポがかった見方ではあるけれど、もしかしたらそれが正解なのかも、と思わせるところもある。

「はじめに」で、地下鉄サリン事件の際、朝日と東スポの見出しが同じになったことにショックを受けた、という話を書いているが、これはなるほど思った。
「次にまた『朝日』と『東スポ』の見出しが同じになる日がきたら、それは日本が深刻な状況になっているときだろう」というのは、なかなかに重い。

著者は、現代において人々が「疑心暗鬼」を楽しめなくなって来ていると言う。白か黒かを性急に求めるのではなく、自分の中の「正義」を疑ってみること、そしてそれを楽しめることが必要だ、という主張は、聴くべきものがあると思う。

ノーベル文学賞2016(その18)

JASRAC会見「京大HP歌詞は引用。請求しない」…16年度徴収額1118億円

京都大学がHP上でボブ・ディランさんの「風に吹かれて」の一節をとりあげたことについて、「JASRAC」(日本音楽著作権協会)の浅石道夫理事長は5月24日、「JASRACは引用として判断している。(著作権使用料を)請求はしない」と明言した。発言は定例記者会見でのもの。

京都大学の山極寿一総長は、4月の入学式の式辞で「風に吹かれて」の一節を紹介。この式辞が大学HPに掲載されたことで、JASRAC側が問い合わせをしていた。

浅石理事長は、JASRACが使用料を請求したという一部報道を完全否定。歌詞の利用目的の確認は、新聞などに対しても行なっている「日常業務」で、困惑していることを強調した。

JASRAC広報によると、今回の件では、外部から京大HPでの歌詞利用について「問題ないのか」という連絡があったという。JASRACでは歌詞付き楽譜のダウンロード販売などについて使用料を徴収しており、公平性や公衆送信権(読者に対し、コピペ、拡散を推奨するものなのかどうか)の観点から、京都大学に掲載目的の確認を行なったそうだ。(弁護士ドットコム)


著作権を管理するのがJASRACの業務なわけだから、使用料を徴収すべきかどうかを確認すること自体、当たり前のことではあるのだけれども、昨今何かと物議を醸し出しているさ中だけに、事実誤認を含めた批判的意見が渦巻いたことは、致し方ないところもあるのかもしれない。

なお、意見なしに事実だけ述べておく。
式辞で引用されている歌詞は10行。ただしその内2行は3回リフレインされる箇所だから実質14行。
ちなみに、Blowin' in the Wind はそんなに長い歌ではなく、歌詞は全部で24行しかない。

ノーベル文学賞2016(その17)

最近何かと話題を振り撒いているJASRACが、また話題を提供してくれている。

京大総長式辞に〝使用料〟請求、ボブ・ディランさんの「風に吹かれて」引用で 日本音楽著作権協会

京都大が4月の入学式で昨年のノーベル文学賞受賞者で米歌手、ボブ・ディランさんの歌詞を引用した山極(やまぎわ)寿一総長の式辞をホームページ(HP)に掲載し、日本音楽著作権協会(JASRAC)が京大に歌詞使用料が発生する可能性があると連絡を入れていたことが19日、分かった。

 JASRACによると、京大がディランさんの「風に吹かれて」の歌詞を一部引用した山極総長の式辞をインターネット上に掲載していると外部から連絡があり、5月、京大に事実確認などの問い合わせをした。

 JASRACの担当者は「個別の事案には答えられない」としたが、一般論として「式辞だけでは歌詞使用料は発生しないが、ネット上に掲載されると使用料が発生する可能性がある」としている。具体的な使用料はケースによって異なり現時点では不明だという。

 一方、京大は、使用料発生の根拠について詳しい説明がないため「今のところ対応は考えていない」としており、HPからの削除も当面は行わない方針。(産経WEST)


「引用」の程度をやや越えている印象なきにしもあらずではあるのだけれども…。

仕事熱心

朝、電車に乗っていたら、近くに立っていた若い女性が何やら一所懸命ノートしている。どうやら仕事のシミュレーションをしているらしい。なかなか熱心だ。
見るとはなしに、ふと眼に入った一節。

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○○さんの補聴器でお電話になります。××(店名らしい)と申します。


激しく指導してあげたい衝動に駆られたのだけれども、我慢した。

以上。